内容は以下の通りです。
株式会社JVCケンウッドは、当社製の視線計測装置「Gazefinder(ゲイズファインダー)」を用いた認知症の早期診断に向けた認知機能検査技術について、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科(以下、「大阪大学」)の研究グループと共同開発しましたので、お知らせいたします。この研究成果は大阪大学より論文発表され、英国科学雑誌「SCIENTIFIC REPORTS」のオンライン版で公開されています。
■研究概要 本研究は、当社と大阪大学の大山茜医師、武田朱公寄附講座准教授、森下竜一寄附講座教授らの研究グループが共同で開発した約3分の映像に対する視線の動きを当社製の視線計測装置「Gazefinder」で計測し、その反応からワーキングメモリーや判断力、記憶力、空間認識力などを解析することで、認知機能を総合的に評価するものです。大阪大学医学部附属病院にて被験者80人に試したところ、医師が20分ほどかけて問診する従来の標準的な認知機能検査法と高い相関を得られることが明らかとなりました。「Gazefinder」を用いた新たな検査法は特別なスキルなしに短時間で実施可能であり、被験者は口頭での回答が不要であることから心理的負担が少ないなど多くの利点を有します。
【本研究での成果のポイント】 ・視線を解析することで簡単に認知機能を評価し、認知症の早期診断につながる新技術を開発。 ・約3分という短時間で実施可能であり、被験者への負担が少ない。 ・言語の介在をあまり必要としない検査法であるため、グローバル展開が可能。 ・誰でも簡単に認知機能を評価できる新たな検査法として、認知症予防への取り組みや高齢者の自動車運転技能の判定など様々な形での社会実装が期待できる。 当社と大阪大学は、認知症診断に対して高い感度を有する映像および診断アルゴリズムを共同開発するとともに、当社にてソフトウェアへの実装、大阪大学にて計測データの収集および臨床評価を行っています。
研究の背景 認知症の急増は世界各国で社会問題となっており、全世界の患者数は2015年の4,680万人から2030年には7,470万人に増加すると推測されています※1。認知症の35%は早期介入により予防できる※2一方で、認知症患者の75%は診断を受けていないとの報告※3もあり、適切な治療やライフプランの準備につながる情報への接触機会を逃していることが指摘されています。既存の認知機能検査は専門の医師による問診が主流で、簡単なものでも約20分程度を要します。検査者に一定のスキルが必要であり、患者・検査者双方にとってストレスが大きいなどの課題が指摘されています。また、近年はタブレットPCを用いた検査も提案されていますが、高齢者には扱いが難しく、回答選択の偶然性が排除できないなど客観性に課題があります。このような背景から、当社と大阪大学は「Gazefinder」を用いた簡便かつ客観的な認知機能検査装置を開発しました。今後も当社と大阪大学は、本研究成果の社会実装を目指します。
■武田朱公准教授のコメント 実際の認知症診療に携わる中で、認知機能検査を行う際の患者さんの負担を何とか軽減できないかを考えてきました。今回の開発には、多くの認知症患者さんのご協力をいただいています。「目の動き」を利用した簡便な認知機能検査法によって、認知症の早期発見や効果的な予防につなげていけるのではないかと期待しています。
■JVCケンウッドと大阪大学の共同研究について JVCケンウッドは、「Gazefinder」を用いたASD(自閉スペクトラム症)診断応用に関する共同開発を2011年より国立大学法人浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター 土屋賢治特任教授、国立大学法人大阪大学大学院連合小児発達学研究科 片山泰一教授らと行っており、その研究成果がきっかけで2017年より大阪大学大学院医学系研究科 武田朱公准教授と認知症への応用研究を開始することとなりました。
※1:World Alzheimer Report 2015※2:Livingston et al. Lancet 2017※3:World Alzheimer Report 2011 <商標について>・「Gazefinder」は、JVCケンウッドの商標または登録商標です。 大阪大学のプレスリリースはこちら
本件に関するお問い合わせ先
【報道関係窓口】株式会社JVCケンウッド 企業コミュニケーション部 広報・IRグループ
TEL: 045-444-5232
〒221-0022 神奈川県横浜市神奈川区守屋町3丁目12番地 本資料の内容は発表時のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
以上
認知症には早期発見とその対処が非常に重要だといわれています。
もちろん素人には技術的なことはわかりませんが、このような技術は、高齢者にも優しく負担が少ないのだと思われます。
2025年には高齢者の五人に一人は認知症になると言われている今、楽しい100年時代を迎えるためにも是非早期発見につながる技術開発に期待したいものです。
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